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Marginal Prince Short Story
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一か月後:メール 続編
「僕に何か用? もう僕には掛けて来ないと思っていたけれど。
君はギリシャでのアバンチュールを随分楽しんでいたようだったからね」
電話に出た天使は、予想以上にご立腹の様子だった。
今日のバニラボイスはとても冷たい。
「聡明な判断だと思うよ? 君って僕から見ても馬鹿ではないし。
やはり、錬金術師の家系より海運王を選んだ方が懸命だよね。
現状、資産力では僕の事業もメネシスには遠く及ばないし」
褒められているのか、怒られているのか微妙な表現だ。
おそらくは、後者なのだろうが。
それに、プライドの高いアンリが、自ら卑下するような言葉を発している。
逆に恐ろしい。かなり怒らせてしまっているようだ。
「そう言えば、女性は男性には理解し得ないミステリアスな部分があるって、
何処かの単細胞が前に言ってたんだけど、本当だったんだね」
アンリと話すようになって解ったことだが、彼は非常に嫉妬深い。
うっかり、この前ジョシュアと電話で話した、などと言ってしまえば、
「生徒代表殿と仲良くしたいのなら、僕に電話しなければ良いんじゃない?」
などとキツイ口調で言われる。しかし、それも慣れてしまえば、
不器用に妬いているだけなのだと解ってきたので、むしろ微笑ましかった。
「悪いけれど、特に用がないなら、もう電話を切ってもいいかな? 僕、忙しいから」
不貞腐れているアンリも可愛いのだが、とても本人には言えない。
ユウタの姉は良い言葉を思い付く。アンリの友人からの直伝だ。
噛み付かないで下さいよ、と言ってみた。
「それ、生徒代表殿の物真似? 似てないよ? それとも僕を怒らせたいの?」
最初から怒ってたじゃないですか、とも言えない。
「##NAME1##」
呼ばれて、は、はい、と返事する。琥珀の瞳に思い切り睨まれる。
「暫く電話掛けて来ないで」
ブチ、と通信が切断された。
ユウタの姉は携帯画面を見つめる。アンリは『暫く』と言った。
暫くすれば、また電話しても良いらしい。
天使のお怒りが治まった頃には「この前は悪かったね」と言われるのだろう。
数時間後には、もう後悔しているのかもしれない。
アンリはそういう人だと以前ジョシュアに言われていた。
「だから、アンリのことよろしくね。彼、君のこと本当に大切に想っているから」と。

END(Henri ending)
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