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■私の天使 サイドストーリー
■アニメベース ※06/05に一部加筆
「わあ! 今日の晩ご飯はデザート付きだー!」
「ダークチェリーのレアチーズケーキでございます」
ウーティス寮のシェフが、ユウタの前に恭しく差し出した。
ある土曜日の夕食。最後に、シェフが持ってきた物は、長方形の真っ白なケーキだった。
生徒達の前で、シェフが切り分け、一人一人に手渡していく。
白いケーキの切り口から、赤い果物が見える。底の位置に敷かれているダークチェリーだ。
「チェリーは6月が旬でございますから、アメリカから最高品種を空輸致しました」
ハルヤは曖昧な微笑を見せながら、
「相変わらず、カミーユって……すごいよね」
「おお、ハルヤ様。お褒めのお言葉、ありがとうございます!」
「ど、どういたしまして」
「ちなみに、完熟期より、やや早めの物を使用しております。
熟したチェリーより、この時期に出回る、
酸味が強い物のほうが、クリームチーズとの相性が良いですから」
「カミーユ、カッコイー!」
ユウタはキラキラした目でシェフを見上げていた。
アルフレッドは小さく肩をすくめながら、隣のジョシュアに向かって囁く。
「ユウタって、何でもかんでも『カッコイー』だよな?」
同意を求められたジョシュアは苦笑していた。
「今日、アンリも居たら良かったのに。今日はお仕事でフランスに居るんだもんねー」
ユウタの言葉に、シェフが「あっ」と叫んだ。
「申し訳ありません。今夜はアンリ様がいらっしゃらないのに、
六等分に切り分けてしまいました。つい、いつもの癖で」
アルフレッドが皿を差し出す。
「いいって、いいって。アンリの分は俺が貰ってやるからさ!」
「えー。レッド、ズルイー! ジャンケンで勝った人が貰えることにしようよー!」
「おっし、望むところだぜ、ユウタ! ジャーンケーン」
その夜も賑やかな夕食だった。
ジャンケン三本勝負が行われてる中、ハルヤはジョシュアをちらりと見た。
こういう時のジョシュアは、お兄さんっぽい顔をしている。
その少し困った笑顔を見るのが、ハルヤは密かに好きだった。
けれど、その日、ハルヤの期待は裏切られる。ジョシュアは悲しそうな顔をしていた。
手を付けていないレアチーズケーキ。それを見つめる表情は、曇っていた。
いつもなら、騒いでいる友人達を、苦笑混じりに見守ってくれている人。
もし、喧嘩になりそうであれば止めにも入ってくれる、
みんなのお兄さんである筈のジョシュアが。
テーブルの向こう側で壮絶なジャンケン大会が行われている中、
ハルヤは、そっと話しかけてみた。
「ジョシュア、もしかして、おなか痛いの?」
「え? あ、いや、何でもないよ」
「うおっしゃあああ! 俺様の三連勝!」
アルフレッドがガッツポーズをしていた。
「心配しなくても、大丈夫じゃないですか? アンリのことなら」
シルヴァンはレアチーズケーキの先にフォークを入れる。
「この前だって、無事に帰ってこられたんですし」
「うん。それは、そんなに心配してないんだけど。今日は特別な日だから」
「ああ、命日でしたか、今日は」
ユウタは耳に入ってきた言葉に驚いた。
「えっ? 命日って、誰の?」
ジョシュアとシルヴァンが顔を見合わせる。
「良いんじゃないですか? 話しても」
「うん。そうだね」
空席を見る。
「アンリが居ないから話すけれど。実は、今日はアンリのお母さんの命日なんだ」
「えっ」
「アンリが今日フランスに行った理由は、仕事ではなくて、お母さんのお墓参りなんだよ」
「……そっか。そう言えば、アンリ、前言ってたね。お母さんは亡くなってるって」
「お母様は、アンリを生んで数日後に亡くなられたそうです」
「そうだったんだ……えっ、ちょっと待って。
じゃあ、アンリのお誕生日って、もう終わってるの?」
アルフレッドはチェリーをフォークに刺しながら、
「ああ、6月6日。すげー日に生まれたもんだよな」
「アンリのバースデーパーティーしてないじゃん!」
「してないな」
「なんで? 誕生日ならパーティーしようよ!
「それはさあ……」
アルフレッドはジョシュアに視線を送った。
その視線を受け止めて、ジョシュアは話し出した。
「すまない、ユウタ。俺達だって、アンリの誕生日を祝いたい気持ちは、ユウタと同じだよ?
だけど、アンリは自分の誕生日を素直に祝うことができないんだ」
「どうして? 誕生日は皆に祝って貰えるし、お誕生日ケーキも食べられるのに!」
「アンリは、自分が生まれたせいで、お母さんを亡くしたと思ってる。
だから、ずっと自分の誕生日が嫌いなんだよ。
誕生日の話をすると、毎年アンリはすぐに心を閉ざしてしまうんだ。
『そんなことを覚えていても、何の得にもならないよ』って」
「ねえ、ジョシュア。アンリ、明日帰ってくるんだよね?」
「うん。夜には帰るって言っていたけれど?」
ユウタは席を立ち上がった。
「やろうよ! アンリの誕生日パーティー!
明日、アンリが帰ってきたら、サプライズパーティーしよう!」
「でも、アンリ、嫌がるかもしれないよ?」
「嫌がられたっていいよ! 俺がお祝いしたいからする!
自分の誕生日が嫌いなんて、そんなのダメだよ!
みんながパーティーしないって言うんなら、俺一人でもパーティーするからね!」
ジョシュアが目をぱちくりする。
「ユウタ……」
「よおっし! 俺は乗ったあ!」
アルフレッドがユウタの肩に腕を回す。
「抜け駆けなんてさせるかよ! 俺も混ぜろよな、ユウタ!」
「ハイハーイ! 僕も入れて下さーい! もちろんハルヤも参加しますよね?」
「大丈夫かなあ」
苦笑しながらも、否定しなかった。
「さあ、あとはお前だけだぜ、ジョシュア?」
皆がジョシュアを見つめる。
ユウタを囲むデッドプリンスの三人を見て、
「……やっぱり、すごいな、ユウタは」
ジョシュアは微笑んだ。
「俺も入れてくれるかい、ユウタ」
テラスから外を眺めると、エッフェル塔が見えた。
その背景には、朝もやに包まれた街並み。明け方のパリは神秘的だ。
流石は高級ホテルの最上階だけのことはある。
こうして見ると、やはりフランスも変わったものだ。
つい先日まで、あの鉄塔は建設中だったのに。
まだ背が低くて、Hの形をしていた頃は、発育途中の幼子のようで愛らしかった。
当時の高さなら、あの塔は投身の名所などにはならなかっただろう。
けれども、321mの高さがあるから、あの鉄塔は美しいのだ。
風が少し冷たい。6月とは言え、早朝は肌寒い。テラスから、部屋の中へ戻った。
室温の暖かさにほっとする。時計を見ると、そろそろ起床時間だった。
このスウィートルームは、シングルベッドが二つ寄せて並べられている。
片方のベッドがまだ膨らんでいた。今回のフランス旅行には連れがいるのだ。
大きなブランケットにくるまって眠っている、私の天使が。
何か夢を見ていた。どんな夢を見ていたんだろう、僕は。
悪夢ではなかったと思う。懐かしい、という想いだけが残ってる。
だけど、夢の途中で終わってしまった気がする。
「朝だよ、アンリ」
そう。誰かの声が割り込んできたからだ。
「おはよう。さあ、起きなさいアンリ?」
「オーギュ……」
僕の声は掠れてた。
目を覚まして、最初に目に入ったものは、神秘学担当講師の顔だった。
彼の背景にある鉄の塔を見て、ああフランスのホテルに来ていたんだ、とぼんやり思い出した。
「起きてくれたかな? アンリ」
まだ眠い。
「なんじ……」
「6時だよ?」
早過ぎる。僕は8時に起きるって言ったのに。
「なんで、起こすの」
「ごめんね。予定より一時間早いフライトに変更したものだから」
「何、勝手なこと、してるの」
「少々、野暮用ができてね、予定より早く島に戻らなくてはいけなくなったんだ」
「なら、君だけ先に帰れば良いじゃない」
「そんなこと言わないで。さあ、朝食にしよう」
仕方なく、身体を起こす。
「今日のフランスは、夜までいい天気だそうだよ?」
そこで僕はやっと気が付いた。
「オーギュ」
「ん?」
「どうして、今日はフランス語で話してるの?」
この教授が数カ国、いやそれ以上の言語を話せるのは知っているけれど、
学院では英語で話している教授が、今日は「おはよう」から全てフランス語だった。
彼につられたのか、僕もフランス語で話していたけれど。
「おや。本当だ」
教授は窓の向こうを見やる。
「パリの灯を見ていたからかな」
ジョシュアはパンをちぎって食べている。
聖アルフォンソ学院の朝食は、どの寮もビュッフェスタイル。
ウーティス寮でも、五人の生徒達が各々好きな物を皿に取って、テーブルに着いている。
「おはようございます、皆様」
朝食中のダイニングルームに、シェフが入ってきた。
いつも『シェフのオススメ』を一品、追加しに来てくれるのだ。
「今朝のオススメは、トマト煮を半熟卵で包み込んだスパニッシュオムレツでございます。
今お作りしたばかりですのでトロトロですよ。よろしければ是非どうぞ」
できたてのメニューをビュッフェ台に置く。早速シルヴァンとユウタが席を立った。
アルフレッドはサンドイッチをオレンジジュースで流し込んで、
「あ! なあ、カミーユ。急な話で悪ぃんだけどさー」
話を聞いたシェフはいたく感銘を受けたようだ。
「アンリ様のバースデーパーティでございますか! ああ、なんと麗しい友情なのでしょう!」
「今夜なんだけど、用意できるか?」
「もちろんでございます! このカミーユ・ルブラン、腕によりをかけて、
アンリ様に喜んで頂ける、最高の料理をお作り致します!」
「ちょ、ちょっと待って、カミーユ」
ハルヤが止めた。
「アンリ、フランスから帰ってきたばっかりで疲れてると思うからさ」
寝癖なのか、右側の後ろ髪が少し跳ねている。
「豪華フランス料理フルコースとかじゃなくて、
サクッと食べれるオードブルみたいなかんじだと嬉しいんだけど」
「ああ、成程。お疲れのところでは、フルコースはお楽しみ頂けませんね」
「そう、そう。アンリの為に、軽めの料理でいいからね」
「但し! バースデーケーキは思いっきりやっちまいなー!」
「アンリ、甘いもの好きだもんね」とユウタ。
シェフは自身の割れた顎を撫でながら、
「そう言えば、アンリ様は『天使の顎』がお好きでしたなあ」
「つーわけで、軽めの料理と、でかめのケーキってことで、よろしくな、カミーユ」
「畏まりました、アルフレッド様。一体どんな料理が良いでしょうねえ。
ああ、早速メニューを考えなくては! では私はこれで失礼致します」
一礼して、足早に去っていった。シェフが居なくなると、ハルヤが東洋の微笑を見せた。
「カミーユ、はりきってたね。大丈夫かな?」
「やっぱ他の寮のシェフに頼むべきだったかー?」
「そんなんことして、あとでバレたら、カミーユ、泣いちゃいますよ」
「……だな。んじゃ、まあ、料理はこれで良いとして、
あと用意するモンはプレゼントに、会場作りに、
バースデーソングはアルフレッド・ヴィスコンティ様が弾き語りで歌ってやるかな」
「わお! 贅沢なバースデーソングですね!」
「俺様の歌で、アンリを泣かしちゃる!」
アンリとオーギュストは、他の一般客と共にパリの空港を発った後、
中継地点となる、ある空港に降り立った。
ここで聖アルフォンソ島行きの特別チャーター機に乗り換える為だ。
フライトまでの時間、空港内に並ぶ土産店を見て回っていた。
「あ、見てご覧、アンリ」
またオーギュストが足を止めた。その後方を教え子が遅れて歩いている。
「今度は何」
教え子のほうが保護者のような態度である。
「これなんか、寮の子達のお土産に良いんじゃないかな?」
「こうして見てみると、音符のようだろう?」
教師が足を止めたのはお菓子の店だった。
五線譜が描かれた白い板の上に、カラフルなマカロンが綺麗にディスプレイされている。
「私も何度か食べたことがあるんだ。
フランスのマカロンより美味しいくらいなんだよ、ここのは」
手前に平積みしてある箱を、オーギュストが手に取る。
「36個入りか。成長期の君達には丁度良いかもしれないね。
あ、アンリの成長期は終わっているんだったかな?」
「オーギュスト」
「失礼。アンリ、これで決めてしまっても良いんじゃないかな?」
「オーギュスト」
「なんだい、アンリ」
「何故こんな所で、のんびりお土産選んでるの?
君、野暮用があるから、一時間早く島に戻りたいんじゃなかったの?」
「おや。私はそんなふうに言っていたかい? 少し言い間違えてしまったようだね。
私は予定より早くフランスを発ちたいと言ったつもりなんだけれど」
「どっちでも同じでしょう。もう搭乗時刻なんだから、早く行こう」
「どうして? 搭乗まで、まだ一時間あるよ」
「それなら、当初の予定と同じじゃない」
「うん。そうだよ。私が搭乗時刻を変更したのは、先程のフライトだけだからね」
「え? 野暮用はどうしたの?」
オーギュストはマカロンの箱を見せる。
「だから、今、しているだろう?」
「まさか、お土産選びの為に、僕を朝6時に起こしたと言うの?」
「うん」
有り得ない。アンリは愕然とした。
「お土産選びは重要だよ、アンリ。お土産の神秘について、一時間講義しようか?」
「そんな講義があったら絶対に自主休講にする。
第一、君みたいな奇人だけには、常識云々を語られたくない」
「お土産は必要だと思うよ、特に今回は」
「どういう意味」
「アンリだって、この間のことで、身に沁みて解っただろう?
君の不在時、あの子達がどんなに心配しているか」
「心配してくれだなんて、僕は頼んでない」
「ああ、もしかして」
オーギュストはポンと手を打つ。
「アンリのおこづかいが足りなくて買えないのかな?
失礼。それなら私が買おう。あと私用にもう一箱」
二箱とも奪うようにアンリが取った。
「馬鹿にしないで。このくらい買えるよ」
会計に向かう背中を見て、教授は笑っていた。
その夜、ウーティス寮サロン。既にパーティの準備は万端である。
サロンいっぱいに派手な装飾が施されていた。
「どーよ! このクラッカー!」
アルフレッドは大き過ぎるクラッカーを見せびらかせていた。
「うわっ。何、このビックサイズ!?」とユウタ。
「ヘヘン。イイだろ~。俺はコレ鳴らすからな!」
ハルヤは掛け時計を見上げていた。
「アンリ、まだかなあ」
「確かにそろそろ帰ってきても良い時間ですよね」
シルヴァンが隣に立つ。ハルヤは俯いていた。
「俺、もう、おなかすいたよ」
「大丈夫ですか、ハルヤ。あ、僕のチョコレートでも食べます?」
テレビでは、ワールドニュースがやっていた。
画面に映った文字を見て、思わずジョシュアは呟いた。
「フランスの空港でシステムトラブル?」
寮生達がテレビの前に集まってくる。
「午後の便が全便欠航、ですか」
「まさか、アンリが乗る予定の飛行機も入ってんじゃねーだろーなー?」
「そうかもしれない。午後一番の便で帰るって言っていたから」
「おいおい、マジかよ? 外に出ると、つくづく運のねえ奴だなあ。
せっかくここまで、パーティの用意してやったのに、主役が遅れんのかよ」
サロンに飾られた煌びやかな装飾品やクラッカーなどが虚しく見えてくる。
「遅れるくらいなら良いんですけどね」
シルヴァンの呟きに、ハルヤも心配そうな顔になる。
「そう、だよね」
嫌な予感を感じながらも、ユウタは尋ねずにはいられなかった。
「ちょ、ちょっと、二人とも、遅れるくらいなら、って、どういうこと?」
「欠航で今日飛べなくなったのなら、アンリでも学院に一言連絡をくれると思いますから。
ジョシュア、アンリからの連絡は来ていないんですよね?」
「来てないよ」
「そ、それって、アンリがまた何か事件に巻き込まれるかもってこと!?
アンリ、怪我とかしてないよね、大丈夫だよね!?」
サロンは静まる。ユウタの問いに答えられる者は居なかった。
「何なの、この悪趣味なサロン」
冷たいバニラボイスに、皆が振り向いた。
馬鹿騒ぎがやっと終わって、僕は自分の部屋に戻ってきた。
すぐベッドに倒れ込みたいくらい疲れてたのに、僕は机の前に立っていた。
タロットカードを手にして、机の左端から右端へ、カードを散らす。
カードに描かれた、尾をくわえた蛇で、机がいっぱいになる。
数回シャッフルして、カードを重ねて、整える。一番上のカードを裏返した。
地上には二人の子供。その足下には二つの石が落ちている。
子供達の頭上には光輝く恒星。正位置だ。カードナンバーは19。
「Le Soleil(ル・ソレイユ)太陽は全ての始まり」
正位置の意味は、成功、祝福、そして、誕生。
ノックの音がした。誰が訪ねてきたのか予想は付いた。
「開いてるよ」
ドアを開けた人物は、タロットを持っていた僕を見て、緋色の瞳を瞬かせた。
「あっ、すまない。占い中だった?」
「ただカードを眺めてただけ」
「……そう」
彼は後ろ手でドアを閉めた。
「ねえ、ジョシュア?」
僕は太陽のカードを机に戻す。
「どうして、君が居ながら、彼等を止められなかったの?」
僕はジョシュアに背を向けたまま、再びカードをシャッフルする。
「フランスから帰ってきたら、いきなりパーティだなんて。僕は長い移動で疲れてるのに」
「みんな、祝いたかったんだよ、アンリの誕生日を」
「勝手だね」
ジョシュアは苦笑する。
「どうせ、主犯はユウタでしょう?」
「よく解ったね?」
「あんなクレイジーなこと考えるのは彼くらいだから」
「ユウタに噛み付くなよ」
ジョシュアの足音が近付いてくる。ぼそりと彼は呟いた。
「ユウタのおかげで、俺は、やっと言わせて貰える」
「何を――」
数枚、机からカードが落ちた。
理解できないことが起こると、思考は一瞬止まるらしい。
僕の視界にジョシュアの両腕が映っていた。
背中があたたかい。
それでやっと、後ろから抱き留められているのだと解った。
「すまない。伝えるのが遅くなって」
見えないのに、彼がどんな顔をしているのか解る。
どうして彼は、こんなにお人好しなんだろう。
「ハッピーバースデー、アンリ」
fin
■アニメベース ※06/05に一部加筆
「わあ! 今日の晩ご飯はデザート付きだー!」
「ダークチェリーのレアチーズケーキでございます」
ウーティス寮のシェフが、ユウタの前に恭しく差し出した。
ある土曜日の夕食。最後に、シェフが持ってきた物は、長方形の真っ白なケーキだった。
生徒達の前で、シェフが切り分け、一人一人に手渡していく。
白いケーキの切り口から、赤い果物が見える。底の位置に敷かれているダークチェリーだ。
「チェリーは6月が旬でございますから、アメリカから最高品種を空輸致しました」
ハルヤは曖昧な微笑を見せながら、
「相変わらず、カミーユって……すごいよね」
「おお、ハルヤ様。お褒めのお言葉、ありがとうございます!」
「ど、どういたしまして」
「ちなみに、完熟期より、やや早めの物を使用しております。
熟したチェリーより、この時期に出回る、
酸味が強い物のほうが、クリームチーズとの相性が良いですから」
「カミーユ、カッコイー!」
ユウタはキラキラした目でシェフを見上げていた。
アルフレッドは小さく肩をすくめながら、隣のジョシュアに向かって囁く。
「ユウタって、何でもかんでも『カッコイー』だよな?」
同意を求められたジョシュアは苦笑していた。
「今日、アンリも居たら良かったのに。今日はお仕事でフランスに居るんだもんねー」
ユウタの言葉に、シェフが「あっ」と叫んだ。
「申し訳ありません。今夜はアンリ様がいらっしゃらないのに、
六等分に切り分けてしまいました。つい、いつもの癖で」
アルフレッドが皿を差し出す。
「いいって、いいって。アンリの分は俺が貰ってやるからさ!」
「えー。レッド、ズルイー! ジャンケンで勝った人が貰えることにしようよー!」
「おっし、望むところだぜ、ユウタ! ジャーンケーン」
その夜も賑やかな夕食だった。
ジャンケン三本勝負が行われてる中、ハルヤはジョシュアをちらりと見た。
こういう時のジョシュアは、お兄さんっぽい顔をしている。
その少し困った笑顔を見るのが、ハルヤは密かに好きだった。
けれど、その日、ハルヤの期待は裏切られる。ジョシュアは悲しそうな顔をしていた。
手を付けていないレアチーズケーキ。それを見つめる表情は、曇っていた。
いつもなら、騒いでいる友人達を、苦笑混じりに見守ってくれている人。
もし、喧嘩になりそうであれば止めにも入ってくれる、
みんなのお兄さんである筈のジョシュアが。
テーブルの向こう側で壮絶なジャンケン大会が行われている中、
ハルヤは、そっと話しかけてみた。
「ジョシュア、もしかして、おなか痛いの?」
「え? あ、いや、何でもないよ」
「うおっしゃあああ! 俺様の三連勝!」
アルフレッドがガッツポーズをしていた。
「心配しなくても、大丈夫じゃないですか? アンリのことなら」
シルヴァンはレアチーズケーキの先にフォークを入れる。
「この前だって、無事に帰ってこられたんですし」
「うん。それは、そんなに心配してないんだけど。今日は特別な日だから」
「ああ、命日でしたか、今日は」
ユウタは耳に入ってきた言葉に驚いた。
「えっ? 命日って、誰の?」
ジョシュアとシルヴァンが顔を見合わせる。
「良いんじゃないですか? 話しても」
「うん。そうだね」
空席を見る。
「アンリが居ないから話すけれど。実は、今日はアンリのお母さんの命日なんだ」
「えっ」
「アンリが今日フランスに行った理由は、仕事ではなくて、お母さんのお墓参りなんだよ」
「……そっか。そう言えば、アンリ、前言ってたね。お母さんは亡くなってるって」
「お母様は、アンリを生んで数日後に亡くなられたそうです」
「そうだったんだ……えっ、ちょっと待って。
じゃあ、アンリのお誕生日って、もう終わってるの?」
アルフレッドはチェリーをフォークに刺しながら、
「ああ、6月6日。すげー日に生まれたもんだよな」
「アンリのバースデーパーティーしてないじゃん!」
「してないな」
「なんで? 誕生日ならパーティーしようよ!
「それはさあ……」
アルフレッドはジョシュアに視線を送った。
その視線を受け止めて、ジョシュアは話し出した。
「すまない、ユウタ。俺達だって、アンリの誕生日を祝いたい気持ちは、ユウタと同じだよ?
だけど、アンリは自分の誕生日を素直に祝うことができないんだ」
「どうして? 誕生日は皆に祝って貰えるし、お誕生日ケーキも食べられるのに!」
「アンリは、自分が生まれたせいで、お母さんを亡くしたと思ってる。
だから、ずっと自分の誕生日が嫌いなんだよ。
誕生日の話をすると、毎年アンリはすぐに心を閉ざしてしまうんだ。
『そんなことを覚えていても、何の得にもならないよ』って」
「ねえ、ジョシュア。アンリ、明日帰ってくるんだよね?」
「うん。夜には帰るって言っていたけれど?」
ユウタは席を立ち上がった。
「やろうよ! アンリの誕生日パーティー!
明日、アンリが帰ってきたら、サプライズパーティーしよう!」
「でも、アンリ、嫌がるかもしれないよ?」
「嫌がられたっていいよ! 俺がお祝いしたいからする!
自分の誕生日が嫌いなんて、そんなのダメだよ!
みんながパーティーしないって言うんなら、俺一人でもパーティーするからね!」
ジョシュアが目をぱちくりする。
「ユウタ……」
「よおっし! 俺は乗ったあ!」
アルフレッドがユウタの肩に腕を回す。
「抜け駆けなんてさせるかよ! 俺も混ぜろよな、ユウタ!」
「ハイハーイ! 僕も入れて下さーい! もちろんハルヤも参加しますよね?」
「大丈夫かなあ」
苦笑しながらも、否定しなかった。
「さあ、あとはお前だけだぜ、ジョシュア?」
皆がジョシュアを見つめる。
ユウタを囲むデッドプリンスの三人を見て、
「……やっぱり、すごいな、ユウタは」
ジョシュアは微笑んだ。
「俺も入れてくれるかい、ユウタ」
テラスから外を眺めると、エッフェル塔が見えた。
その背景には、朝もやに包まれた街並み。明け方のパリは神秘的だ。
流石は高級ホテルの最上階だけのことはある。
こうして見ると、やはりフランスも変わったものだ。
つい先日まで、あの鉄塔は建設中だったのに。
まだ背が低くて、Hの形をしていた頃は、発育途中の幼子のようで愛らしかった。
当時の高さなら、あの塔は投身の名所などにはならなかっただろう。
けれども、321mの高さがあるから、あの鉄塔は美しいのだ。
風が少し冷たい。6月とは言え、早朝は肌寒い。テラスから、部屋の中へ戻った。
室温の暖かさにほっとする。時計を見ると、そろそろ起床時間だった。
このスウィートルームは、シングルベッドが二つ寄せて並べられている。
片方のベッドがまだ膨らんでいた。今回のフランス旅行には連れがいるのだ。
大きなブランケットにくるまって眠っている、私の天使が。
何か夢を見ていた。どんな夢を見ていたんだろう、僕は。
悪夢ではなかったと思う。懐かしい、という想いだけが残ってる。
だけど、夢の途中で終わってしまった気がする。
「朝だよ、アンリ」
そう。誰かの声が割り込んできたからだ。
「おはよう。さあ、起きなさいアンリ?」
「オーギュ……」
僕の声は掠れてた。
目を覚まして、最初に目に入ったものは、神秘学担当講師の顔だった。
彼の背景にある鉄の塔を見て、ああフランスのホテルに来ていたんだ、とぼんやり思い出した。
「起きてくれたかな? アンリ」
まだ眠い。
「なんじ……」
「6時だよ?」
早過ぎる。僕は8時に起きるって言ったのに。
「なんで、起こすの」
「ごめんね。予定より一時間早いフライトに変更したものだから」
「何、勝手なこと、してるの」
「少々、野暮用ができてね、予定より早く島に戻らなくてはいけなくなったんだ」
「なら、君だけ先に帰れば良いじゃない」
「そんなこと言わないで。さあ、朝食にしよう」
仕方なく、身体を起こす。
「今日のフランスは、夜までいい天気だそうだよ?」
そこで僕はやっと気が付いた。
「オーギュ」
「ん?」
「どうして、今日はフランス語で話してるの?」
この教授が数カ国、いやそれ以上の言語を話せるのは知っているけれど、
学院では英語で話している教授が、今日は「おはよう」から全てフランス語だった。
彼につられたのか、僕もフランス語で話していたけれど。
「おや。本当だ」
教授は窓の向こうを見やる。
「パリの灯を見ていたからかな」
ジョシュアはパンをちぎって食べている。
聖アルフォンソ学院の朝食は、どの寮もビュッフェスタイル。
ウーティス寮でも、五人の生徒達が各々好きな物を皿に取って、テーブルに着いている。
「おはようございます、皆様」
朝食中のダイニングルームに、シェフが入ってきた。
いつも『シェフのオススメ』を一品、追加しに来てくれるのだ。
「今朝のオススメは、トマト煮を半熟卵で包み込んだスパニッシュオムレツでございます。
今お作りしたばかりですのでトロトロですよ。よろしければ是非どうぞ」
できたてのメニューをビュッフェ台に置く。早速シルヴァンとユウタが席を立った。
アルフレッドはサンドイッチをオレンジジュースで流し込んで、
「あ! なあ、カミーユ。急な話で悪ぃんだけどさー」
話を聞いたシェフはいたく感銘を受けたようだ。
「アンリ様のバースデーパーティでございますか! ああ、なんと麗しい友情なのでしょう!」
「今夜なんだけど、用意できるか?」
「もちろんでございます! このカミーユ・ルブラン、腕によりをかけて、
アンリ様に喜んで頂ける、最高の料理をお作り致します!」
「ちょ、ちょっと待って、カミーユ」
ハルヤが止めた。
「アンリ、フランスから帰ってきたばっかりで疲れてると思うからさ」
寝癖なのか、右側の後ろ髪が少し跳ねている。
「豪華フランス料理フルコースとかじゃなくて、
サクッと食べれるオードブルみたいなかんじだと嬉しいんだけど」
「ああ、成程。お疲れのところでは、フルコースはお楽しみ頂けませんね」
「そう、そう。アンリの為に、軽めの料理でいいからね」
「但し! バースデーケーキは思いっきりやっちまいなー!」
「アンリ、甘いもの好きだもんね」とユウタ。
シェフは自身の割れた顎を撫でながら、
「そう言えば、アンリ様は『天使の顎』がお好きでしたなあ」
「つーわけで、軽めの料理と、でかめのケーキってことで、よろしくな、カミーユ」
「畏まりました、アルフレッド様。一体どんな料理が良いでしょうねえ。
ああ、早速メニューを考えなくては! では私はこれで失礼致します」
一礼して、足早に去っていった。シェフが居なくなると、ハルヤが東洋の微笑を見せた。
「カミーユ、はりきってたね。大丈夫かな?」
「やっぱ他の寮のシェフに頼むべきだったかー?」
「そんなんことして、あとでバレたら、カミーユ、泣いちゃいますよ」
「……だな。んじゃ、まあ、料理はこれで良いとして、
あと用意するモンはプレゼントに、会場作りに、
バースデーソングはアルフレッド・ヴィスコンティ様が弾き語りで歌ってやるかな」
「わお! 贅沢なバースデーソングですね!」
「俺様の歌で、アンリを泣かしちゃる!」
アンリとオーギュストは、他の一般客と共にパリの空港を発った後、
中継地点となる、ある空港に降り立った。
ここで聖アルフォンソ島行きの特別チャーター機に乗り換える為だ。
フライトまでの時間、空港内に並ぶ土産店を見て回っていた。
「あ、見てご覧、アンリ」
またオーギュストが足を止めた。その後方を教え子が遅れて歩いている。
「今度は何」
教え子のほうが保護者のような態度である。
「これなんか、寮の子達のお土産に良いんじゃないかな?」
「こうして見てみると、音符のようだろう?」
教師が足を止めたのはお菓子の店だった。
五線譜が描かれた白い板の上に、カラフルなマカロンが綺麗にディスプレイされている。
「私も何度か食べたことがあるんだ。
フランスのマカロンより美味しいくらいなんだよ、ここのは」
手前に平積みしてある箱を、オーギュストが手に取る。
「36個入りか。成長期の君達には丁度良いかもしれないね。
あ、アンリの成長期は終わっているんだったかな?」
「オーギュスト」
「失礼。アンリ、これで決めてしまっても良いんじゃないかな?」
「オーギュスト」
「なんだい、アンリ」
「何故こんな所で、のんびりお土産選んでるの?
君、野暮用があるから、一時間早く島に戻りたいんじゃなかったの?」
「おや。私はそんなふうに言っていたかい? 少し言い間違えてしまったようだね。
私は予定より早くフランスを発ちたいと言ったつもりなんだけれど」
「どっちでも同じでしょう。もう搭乗時刻なんだから、早く行こう」
「どうして? 搭乗まで、まだ一時間あるよ」
「それなら、当初の予定と同じじゃない」
「うん。そうだよ。私が搭乗時刻を変更したのは、先程のフライトだけだからね」
「え? 野暮用はどうしたの?」
オーギュストはマカロンの箱を見せる。
「だから、今、しているだろう?」
「まさか、お土産選びの為に、僕を朝6時に起こしたと言うの?」
「うん」
有り得ない。アンリは愕然とした。
「お土産選びは重要だよ、アンリ。お土産の神秘について、一時間講義しようか?」
「そんな講義があったら絶対に自主休講にする。
第一、君みたいな奇人だけには、常識云々を語られたくない」
「お土産は必要だと思うよ、特に今回は」
「どういう意味」
「アンリだって、この間のことで、身に沁みて解っただろう?
君の不在時、あの子達がどんなに心配しているか」
「心配してくれだなんて、僕は頼んでない」
「ああ、もしかして」
オーギュストはポンと手を打つ。
「アンリのおこづかいが足りなくて買えないのかな?
失礼。それなら私が買おう。あと私用にもう一箱」
二箱とも奪うようにアンリが取った。
「馬鹿にしないで。このくらい買えるよ」
会計に向かう背中を見て、教授は笑っていた。
その夜、ウーティス寮サロン。既にパーティの準備は万端である。
サロンいっぱいに派手な装飾が施されていた。
「どーよ! このクラッカー!」
アルフレッドは大き過ぎるクラッカーを見せびらかせていた。
「うわっ。何、このビックサイズ!?」とユウタ。
「ヘヘン。イイだろ~。俺はコレ鳴らすからな!」
ハルヤは掛け時計を見上げていた。
「アンリ、まだかなあ」
「確かにそろそろ帰ってきても良い時間ですよね」
シルヴァンが隣に立つ。ハルヤは俯いていた。
「俺、もう、おなかすいたよ」
「大丈夫ですか、ハルヤ。あ、僕のチョコレートでも食べます?」
テレビでは、ワールドニュースがやっていた。
画面に映った文字を見て、思わずジョシュアは呟いた。
「フランスの空港でシステムトラブル?」
寮生達がテレビの前に集まってくる。
「午後の便が全便欠航、ですか」
「まさか、アンリが乗る予定の飛行機も入ってんじゃねーだろーなー?」
「そうかもしれない。午後一番の便で帰るって言っていたから」
「おいおい、マジかよ? 外に出ると、つくづく運のねえ奴だなあ。
せっかくここまで、パーティの用意してやったのに、主役が遅れんのかよ」
サロンに飾られた煌びやかな装飾品やクラッカーなどが虚しく見えてくる。
「遅れるくらいなら良いんですけどね」
シルヴァンの呟きに、ハルヤも心配そうな顔になる。
「そう、だよね」
嫌な予感を感じながらも、ユウタは尋ねずにはいられなかった。
「ちょ、ちょっと、二人とも、遅れるくらいなら、って、どういうこと?」
「欠航で今日飛べなくなったのなら、アンリでも学院に一言連絡をくれると思いますから。
ジョシュア、アンリからの連絡は来ていないんですよね?」
「来てないよ」
「そ、それって、アンリがまた何か事件に巻き込まれるかもってこと!?
アンリ、怪我とかしてないよね、大丈夫だよね!?」
サロンは静まる。ユウタの問いに答えられる者は居なかった。
「何なの、この悪趣味なサロン」
冷たいバニラボイスに、皆が振り向いた。
馬鹿騒ぎがやっと終わって、僕は自分の部屋に戻ってきた。
すぐベッドに倒れ込みたいくらい疲れてたのに、僕は机の前に立っていた。
タロットカードを手にして、机の左端から右端へ、カードを散らす。
カードに描かれた、尾をくわえた蛇で、机がいっぱいになる。
数回シャッフルして、カードを重ねて、整える。一番上のカードを裏返した。
地上には二人の子供。その足下には二つの石が落ちている。
子供達の頭上には光輝く恒星。正位置だ。カードナンバーは19。
「Le Soleil(ル・ソレイユ)太陽は全ての始まり」
正位置の意味は、成功、祝福、そして、誕生。
ノックの音がした。誰が訪ねてきたのか予想は付いた。
「開いてるよ」
ドアを開けた人物は、タロットを持っていた僕を見て、緋色の瞳を瞬かせた。
「あっ、すまない。占い中だった?」
「ただカードを眺めてただけ」
「……そう」
彼は後ろ手でドアを閉めた。
「ねえ、ジョシュア?」
僕は太陽のカードを机に戻す。
「どうして、君が居ながら、彼等を止められなかったの?」
僕はジョシュアに背を向けたまま、再びカードをシャッフルする。
「フランスから帰ってきたら、いきなりパーティだなんて。僕は長い移動で疲れてるのに」
「みんな、祝いたかったんだよ、アンリの誕生日を」
「勝手だね」
ジョシュアは苦笑する。
「どうせ、主犯はユウタでしょう?」
「よく解ったね?」
「あんなクレイジーなこと考えるのは彼くらいだから」
「ユウタに噛み付くなよ」
ジョシュアの足音が近付いてくる。ぼそりと彼は呟いた。
「ユウタのおかげで、俺は、やっと言わせて貰える」
「何を――」
数枚、机からカードが落ちた。
理解できないことが起こると、思考は一瞬止まるらしい。
僕の視界にジョシュアの両腕が映っていた。
背中があたたかい。
それでやっと、後ろから抱き留められているのだと解った。
「すまない。伝えるのが遅くなって」
見えないのに、彼がどんな顔をしているのか解る。
どうして彼は、こんなにお人好しなんだろう。
「ハッピーバースデー、アンリ」
fin
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