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■テオ×ウーティス寮
■明日から12月 続編
■シハル姉さん、リクエストありがとうございました!
「クリスマスライブも大成功だったね!」
夕方のウーティス寮サロンには寮生達が集まっている。
今日は寮生だけでなく、生徒代表のテオが遊びに来ていた。
先日行われたクリスマスライブの感動を伝える為だ。
「流石はデッドプリンス! 最高のライブだったよ!」
「おうよ! マジでみんな、ぶちあがってたよな!」
デッドプリンスの大ファンである生徒代表に褒めちぎられ、
デッドプリンスのギター兼リーダーはすっかり気を良くしていた。
「思ったよりお客さんも来てくれましたよね」
デッドプリンスのドラマーが手にしているのは、ホットレモネード。
透明なガラスのカップには、レモンピールが入っている。
「ちょっと会場が狭かったぐらいでしたし」
「あー、それは反省点!」
リーダーが膝を打つ。
「来年やる時はさ、もっとデカイ会場押さえようぜ!」
デッドプリンスのベースを担当する東洋人が黒目を瞬く。
「えっ。来年もやるの?」
「来年もやってくれっていっぱい言われたじゃん!
ファンの期待に応えてこそ、プロなんだぜ!」
「いや、俺は別にプロじゃないんだけど……」
「何を言っているんだい、東洋の黒い真珠!
君達のバンドは、とっくにプロ顔負けだよ!
もし、島でCDを出そうものなら、あっという間に売り切れるよ!?」
「そ、それは、どうも……」
「クリスマスも終わっちゃいましたし、あとはもう新年ってかんじですねー」
「あっ! カウントダウンライブでもやっちゃう!?」
「やらないよ、俺は」
「なんでだよ、ハルヤ!」
「お正月だから。お正月くらいはゆっくりさせてよ」
「あ、そうそう。ニッポンの新年って、とっても特別な雰囲気がありますよね。
世界の中でも、ニッポンが一番、新年を大切にしている国だと思いますよ」
「そっか。うん。そうかもしれないね」
「東洋の黒い真珠、君の国では一年の始まりをどのように過ごすんだい?」
「お正月の過ごし方? まあ、家庭によって色々だと思うけど……」
「東洋の黒い真珠家では、どのように過ごしていたんだい?」
「東洋の黒い真珠家って……まあ、いいや。
子供の頃は、本家に集まって、みんなでおせち食べたり、色々ね」
「本家と言うと、おじいさまのおうちか。
成程。ご家族総出で、賑やかに新年を祝うのだね」
「まあ、そんなかんじ。兄様と会えるのは楽しみだったな。
じいさまも一緒に遊んでくれたし。
あと、楽しみだったのは、お年玉かな、やっぱり」
「あっ! オトシダマは僕も知ってますー!
ジャパニメーションで絶対出てきますもんね!」
「流石はシルヴァン。君は本当に博識だねえ」
「いやー、それほどでもありますー」
「そのオトシダマとは、どんなものなんだい?」
「子ども達が大人達から貰える、お金のことです!」
「なんと!」
「ニッポンでは、お正月に特別なおこづかいが貰えるんですよ。
パパ・ママ、グランパ・グランマに親戚の方からも。
小さな紙の袋に入ってて、とってもキュートなんですよ。
だから、ニッポンの子どもは1月1日が1番お金持ちなんですー」
「なんだって!? ニッポンでは、
子どもが大人から金を巻き上げんのか!?」
「ま、巻き上げてるわけじゃないよ。昔からある行事みたいなもので」
「では、私もみんなにオトシダマを贈ろうかな! 生徒代表として!」
「わお! ホントですか! 助かっちゃいますー!」
「も、貰えないよ。友達からお年玉なんて」
「えー。ダメなんですかー?」
「私ではオトシダマのプレゼンターにはなれないのかい?」
「う、うん。大人が子どもにあげるものだから。
しかもテオからなんて……なんかコワイよ。とんでもない額が入ってそうで」
「では、お金ではない物ならば良いのかな?
一年の始まりに、初めて贈るプレゼントなんて、素敵だからね。
心ばかりの、小さなプレゼントならば、良いのだろう?」
「小さなプレゼントって、例えば?」
「フフッ。今、言ってしまっては、当日の驚きがなくなってしまうよ。
当日まで楽しみにしておいで、東洋の黒い真珠。
一年の始まりの日、愛を込めて、君にプレゼントを贈るから」
「う、うん。ありがと……」
日本人は東洋の微笑を浮かべながら、
「俺、余計なこと言っちゃったかな」と少し思った。
「他には? 新年にやるゲームとかはないのか?」
「えっと。お正月の遊びはいっぱいあるけど。かるた、とか」
「カルタ? カルタとは何だい? 東洋の黒い真珠」
日本人はみんなにかるた遊びの説明をした。
説明が終わると、テオは大きくニ度頷いた。
「成程、成程。つまり、文字を書いた紙を読んでくれる人が居て、
その読まれたカードをたくさん取れた人が勝ち、
というカードゲームなのだね!」
「カードゲーム……なのか。そうだね、言われてみれば」
「でもさー、そのカード、日本語で書いてあんだろ?
俺達、読めねえじゃん。アルファベットのやつ売ってんのかよ?」
「うーん。どこかには売ってるだろうけど、
新市街のお店とかにはないだろうね、流石に」
「よしっ!」
テオが立ち上がった。
「作ろう! アルファベットのカルタがないなら作ろう!」
「おっ。オーダーメイドすんのか?」
「いいや。この手で作るのだよ! 私達の手で!」
「手作りかよっ!?」
「私達にも作れるよね、東洋の黒い真珠!?」
「まあ、必要な物は、紙とペンくらいだから、
できないことはないと思うけど、26枚作るのはちょっと」
「そうか! みんなで手分けして作れば良いのだね!
みんなで作ったカルタで、みんなで遊ぶ!
ああ、なんと素晴らしい! 流石は東洋の黒い真珠!」
「じゃあ、1枚目はAから始まる文を考えれば良いんですよね」
「Aだからー、『アンリは生意気お姫様』とかどうだ? ヒヒヒッ」
「僕、イニシャルはAじゃなくて、Hだから。君と一緒にしないで」
アルフレッドが隅のソファに向かって、
そう言うと、すぐに冷たい毒舌が返ってきた。
本人が言うように、アンリのスペルは『Henri』であり、頭文字はHである。
「あ、そうか。俺、Aだった! じゃあ俺がAのカード書く!」
「それじゃ僕はSですね! ジョシュアはJ、お願いしますねっ」
「う、うん。解ったよ」
急に話を振られたジョシュアは少し驚きながら頷く。
テオは優雅に手を自分の胸に当てる。
「では、私はTを担当しよう。東洋の黒い真珠は……
はっ! 君もHじゃないか! Hが2人居るなんて! ああ、一体どうすれば」
「僕を外せば?」
隅の席に居るイニシャルHがそう言うと、眼鏡のイニシャルHもこう言った。
「俺も入らなくていいけど。てゆうか、
かるたの文字を、誰かの名前にする決まりもないし」
「ああ! なんて素晴らしい譲り合いの精神!」
冷めた吐息が隅の席から聞こえる。
「……貴方はいちいち感動しないで」
「では早速、カルタを作ろう! おっと、その前に材料がないじゃないか!
よしっ! 紙とペン一式を借りてこよう!
東洋の黒い真珠! 君も私と一緒に来てくれるかい?
どんな紙を選べば良いか、ナイスアドバイスをしておくれ?」
「あ、うん」
「僕も一緒に行って良いですか? 荷物が多くなったら、
男手が必要になるかもしれませんから、僕にもお手伝いさせて下さい!」
「おお、力持ちのシルヴァンが来てくれれば助かるよ! ありがとう!
では三人で行ってくるから、君達はここで少し待っていておくれ」
「はい。解りました」とジョシュアが答える。
テオ、ハルヤ、シルヴァンがサロンを出て行く。
首を捻っていたアルフレッドは、
閉まったドアに向かって、一歩遅れてツッコんだ。
「てゆうか、全員、男手だろ!」
fin
■明日から12月 続編
■シハル姉さん、リクエストありがとうございました!
「クリスマスライブも大成功だったね!」
夕方のウーティス寮サロンには寮生達が集まっている。
今日は寮生だけでなく、生徒代表のテオが遊びに来ていた。
先日行われたクリスマスライブの感動を伝える為だ。
「流石はデッドプリンス! 最高のライブだったよ!」
「おうよ! マジでみんな、ぶちあがってたよな!」
デッドプリンスの大ファンである生徒代表に褒めちぎられ、
デッドプリンスのギター兼リーダーはすっかり気を良くしていた。
「思ったよりお客さんも来てくれましたよね」
デッドプリンスのドラマーが手にしているのは、ホットレモネード。
透明なガラスのカップには、レモンピールが入っている。
「ちょっと会場が狭かったぐらいでしたし」
「あー、それは反省点!」
リーダーが膝を打つ。
「来年やる時はさ、もっとデカイ会場押さえようぜ!」
デッドプリンスのベースを担当する東洋人が黒目を瞬く。
「えっ。来年もやるの?」
「来年もやってくれっていっぱい言われたじゃん!
ファンの期待に応えてこそ、プロなんだぜ!」
「いや、俺は別にプロじゃないんだけど……」
「何を言っているんだい、東洋の黒い真珠!
君達のバンドは、とっくにプロ顔負けだよ!
もし、島でCDを出そうものなら、あっという間に売り切れるよ!?」
「そ、それは、どうも……」
「クリスマスも終わっちゃいましたし、あとはもう新年ってかんじですねー」
「あっ! カウントダウンライブでもやっちゃう!?」
「やらないよ、俺は」
「なんでだよ、ハルヤ!」
「お正月だから。お正月くらいはゆっくりさせてよ」
「あ、そうそう。ニッポンの新年って、とっても特別な雰囲気がありますよね。
世界の中でも、ニッポンが一番、新年を大切にしている国だと思いますよ」
「そっか。うん。そうかもしれないね」
「東洋の黒い真珠、君の国では一年の始まりをどのように過ごすんだい?」
「お正月の過ごし方? まあ、家庭によって色々だと思うけど……」
「東洋の黒い真珠家では、どのように過ごしていたんだい?」
「東洋の黒い真珠家って……まあ、いいや。
子供の頃は、本家に集まって、みんなでおせち食べたり、色々ね」
「本家と言うと、おじいさまのおうちか。
成程。ご家族総出で、賑やかに新年を祝うのだね」
「まあ、そんなかんじ。兄様と会えるのは楽しみだったな。
じいさまも一緒に遊んでくれたし。
あと、楽しみだったのは、お年玉かな、やっぱり」
「あっ! オトシダマは僕も知ってますー!
ジャパニメーションで絶対出てきますもんね!」
「流石はシルヴァン。君は本当に博識だねえ」
「いやー、それほどでもありますー」
「そのオトシダマとは、どんなものなんだい?」
「子ども達が大人達から貰える、お金のことです!」
「なんと!」
「ニッポンでは、お正月に特別なおこづかいが貰えるんですよ。
パパ・ママ、グランパ・グランマに親戚の方からも。
小さな紙の袋に入ってて、とってもキュートなんですよ。
だから、ニッポンの子どもは1月1日が1番お金持ちなんですー」
「なんだって!? ニッポンでは、
子どもが大人から金を巻き上げんのか!?」
「ま、巻き上げてるわけじゃないよ。昔からある行事みたいなもので」
「では、私もみんなにオトシダマを贈ろうかな! 生徒代表として!」
「わお! ホントですか! 助かっちゃいますー!」
「も、貰えないよ。友達からお年玉なんて」
「えー。ダメなんですかー?」
「私ではオトシダマのプレゼンターにはなれないのかい?」
「う、うん。大人が子どもにあげるものだから。
しかもテオからなんて……なんかコワイよ。とんでもない額が入ってそうで」
「では、お金ではない物ならば良いのかな?
一年の始まりに、初めて贈るプレゼントなんて、素敵だからね。
心ばかりの、小さなプレゼントならば、良いのだろう?」
「小さなプレゼントって、例えば?」
「フフッ。今、言ってしまっては、当日の驚きがなくなってしまうよ。
当日まで楽しみにしておいで、東洋の黒い真珠。
一年の始まりの日、愛を込めて、君にプレゼントを贈るから」
「う、うん。ありがと……」
日本人は東洋の微笑を浮かべながら、
「俺、余計なこと言っちゃったかな」と少し思った。
「他には? 新年にやるゲームとかはないのか?」
「えっと。お正月の遊びはいっぱいあるけど。かるた、とか」
「カルタ? カルタとは何だい? 東洋の黒い真珠」
日本人はみんなにかるた遊びの説明をした。
説明が終わると、テオは大きくニ度頷いた。
「成程、成程。つまり、文字を書いた紙を読んでくれる人が居て、
その読まれたカードをたくさん取れた人が勝ち、
というカードゲームなのだね!」
「カードゲーム……なのか。そうだね、言われてみれば」
「でもさー、そのカード、日本語で書いてあんだろ?
俺達、読めねえじゃん。アルファベットのやつ売ってんのかよ?」
「うーん。どこかには売ってるだろうけど、
新市街のお店とかにはないだろうね、流石に」
「よしっ!」
テオが立ち上がった。
「作ろう! アルファベットのカルタがないなら作ろう!」
「おっ。オーダーメイドすんのか?」
「いいや。この手で作るのだよ! 私達の手で!」
「手作りかよっ!?」
「私達にも作れるよね、東洋の黒い真珠!?」
「まあ、必要な物は、紙とペンくらいだから、
できないことはないと思うけど、26枚作るのはちょっと」
「そうか! みんなで手分けして作れば良いのだね!
みんなで作ったカルタで、みんなで遊ぶ!
ああ、なんと素晴らしい! 流石は東洋の黒い真珠!」
「じゃあ、1枚目はAから始まる文を考えれば良いんですよね」
「Aだからー、『アンリは生意気お姫様』とかどうだ? ヒヒヒッ」
「僕、イニシャルはAじゃなくて、Hだから。君と一緒にしないで」
アルフレッドが隅のソファに向かって、
そう言うと、すぐに冷たい毒舌が返ってきた。
本人が言うように、アンリのスペルは『Henri』であり、頭文字はHである。
「あ、そうか。俺、Aだった! じゃあ俺がAのカード書く!」
「それじゃ僕はSですね! ジョシュアはJ、お願いしますねっ」
「う、うん。解ったよ」
急に話を振られたジョシュアは少し驚きながら頷く。
テオは優雅に手を自分の胸に当てる。
「では、私はTを担当しよう。東洋の黒い真珠は……
はっ! 君もHじゃないか! Hが2人居るなんて! ああ、一体どうすれば」
「僕を外せば?」
隅の席に居るイニシャルHがそう言うと、眼鏡のイニシャルHもこう言った。
「俺も入らなくていいけど。てゆうか、
かるたの文字を、誰かの名前にする決まりもないし」
「ああ! なんて素晴らしい譲り合いの精神!」
冷めた吐息が隅の席から聞こえる。
「……貴方はいちいち感動しないで」
「では早速、カルタを作ろう! おっと、その前に材料がないじゃないか!
よしっ! 紙とペン一式を借りてこよう!
東洋の黒い真珠! 君も私と一緒に来てくれるかい?
どんな紙を選べば良いか、ナイスアドバイスをしておくれ?」
「あ、うん」
「僕も一緒に行って良いですか? 荷物が多くなったら、
男手が必要になるかもしれませんから、僕にもお手伝いさせて下さい!」
「おお、力持ちのシルヴァンが来てくれれば助かるよ! ありがとう!
では三人で行ってくるから、君達はここで少し待っていておくれ」
「はい。解りました」とジョシュアが答える。
テオ、ハルヤ、シルヴァンがサロンを出て行く。
首を捻っていたアルフレッドは、
閉まったドアに向かって、一歩遅れてツッコんだ。
「てゆうか、全員、男手だろ!」
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