×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
■アンリの日記「バカンス」ベース
「さあっ、ミハイル。入って入って」
ユウタは最近仲良くなった友達の手を引く。
ウーティス寮サロンにミハイルが遊びに来た。
ユウタに半ば強引に連れて来られた、という方が正確かもしれない。
「お、おじゃまします…」
ミハイルはおずおずと部屋に入る。
シュヌーシア寮でさえ、サロンにはあまり顔を出さないのに、
自分の部屋より広く、慣れない空間に足を踏み入れることに緊張してしまう。
サロンにはまだ誰も居ない。それはありがたいことだった。
この寮には一人、少し怖い人が居る。
ドアがノックされて、ミハイルは驚いた。
開いたドアには初老の執事。ロマンスグレイの髪を見て、ミハイルは少し安心する。
執事は来客にお辞儀した。
「おや、ミハイル様。ようこそ、ウーティス寮へ」
「あ、あの、お邪魔してます…」
慌ててミハイルも同じように頭を下げた。
「ご丁寧にありがとうございます」
執事は、ウーティスに住む主人に尋ねる。
「ユウタ様、お茶のご用意をしても宜しいでしょうか?」
「うん。お願い。あっ、あとアレも、ね?」
「畏まりました」
バトラーが下がると、ユウタは友達を席に勧めた。
学院は長期休暇に入っていた。
アルフレッド、シルヴァン、ハルヤの三人は揃って旅行中だ。
昨年度の生徒代表が暮らすギリシャまで遥々遊びに行ったらしい。
三人と彼は、バンドメンバーとその熱烈なファンとして仲が良かった。
寮に残っているのはお留守番組に成り易いジョシュアとアンリ。
そして、今回はユウタも寮に留まった。
日本に帰らず、デッドプリンスの誘いも遠慮した。
それはミハイルに付き合ってのことである。
身体の弱いミハイルは休暇中も必ず学院に残る。
そう聞いて、ユウタも学院に残ることにした。
バトラーが運んできたのは紅茶とアップルパイ。
ミハイルが好きなお菓子であり、ユウタが昨日のうちに注文していたものだ。
「ミハイル、好きだったよね?」
「うんっ」
友達の笑顔が嬉しくて、ユウタも笑顔になった。
バトラーが二人に誘惑の代償を切り分ける。
きつね色のパイ。辺りには甘いリンゴとシナモンの匂い。
「おいしい…」
甘い物を口にしたミハイルは表情が柔らかくなった。
ユウタも、ほっとしてフォークを口に運んだ。
「勝手だね」
「怒るなよ」
ジョシュアとアンリの声。二人がライブラリからサロンに戻ってきた。
アンリの琥珀の瞳が部外者を捉える。
びくりとミハイルの肩が跳ねた。
見下ろして、冷笑する。刺々しい言い方だった。
「こんにちは、ミハイル」
蛇に睨まれた兎のように、ミハイルは一度息を詰まらせる。
必死で挨拶を返した。
「あっ…こ、こんにちは、アンリ」
一瞬で凍り掛けた空気。それをジョシュアが緩和する。
ウーティス最高学年はシュヌーシアの寮生を温かく迎えた。
「やあ、ミハイル。来ていたんだね」
「こ、こんにちは。ジョシュア」
「ウーティスに遊びに来てくれてありがとう。歓迎するよ」
生徒代表の優しい言葉に、ミハイルは少し頬を染める。
「二人は、これからティータイムかい?」
うん、とユウタが答える。
「ジョシュアとアンリも食べる? アップルパイ」
「ありがとう。頂こうかな」
「僕は要らない」
「アンリ?」
ジョシュアの隣から扉へと踵を返す。
「失礼するよ」
ちらとミハイルを盗み見て、ドアを閉めた。
バタン、と重苦しい音が鳴る。
「すまない、ミハイル」
ジョシュアは友人の非礼を詫びた。
→「俺、ちょっと見てくるよ。ミハイルは、ゆっくりしていって」
→「心配しなくて良いよ。何処に行ったのは大体解るから」
→「君のせいじゃないからね? アンリは休暇中、いつも機嫌が悪いんだよ」
→一方その頃、ギリシャでは。
→一方その頃、保健室では。
「さあっ、ミハイル。入って入って」
ユウタは最近仲良くなった友達の手を引く。
ウーティス寮サロンにミハイルが遊びに来た。
ユウタに半ば強引に連れて来られた、という方が正確かもしれない。
「お、おじゃまします…」
ミハイルはおずおずと部屋に入る。
シュヌーシア寮でさえ、サロンにはあまり顔を出さないのに、
自分の部屋より広く、慣れない空間に足を踏み入れることに緊張してしまう。
サロンにはまだ誰も居ない。それはありがたいことだった。
この寮には一人、少し怖い人が居る。
ドアがノックされて、ミハイルは驚いた。
開いたドアには初老の執事。ロマンスグレイの髪を見て、ミハイルは少し安心する。
執事は来客にお辞儀した。
「おや、ミハイル様。ようこそ、ウーティス寮へ」
「あ、あの、お邪魔してます…」
慌ててミハイルも同じように頭を下げた。
「ご丁寧にありがとうございます」
執事は、ウーティスに住む主人に尋ねる。
「ユウタ様、お茶のご用意をしても宜しいでしょうか?」
「うん。お願い。あっ、あとアレも、ね?」
「畏まりました」
バトラーが下がると、ユウタは友達を席に勧めた。
学院は長期休暇に入っていた。
アルフレッド、シルヴァン、ハルヤの三人は揃って旅行中だ。
昨年度の生徒代表が暮らすギリシャまで遥々遊びに行ったらしい。
三人と彼は、バンドメンバーとその熱烈なファンとして仲が良かった。
寮に残っているのはお留守番組に成り易いジョシュアとアンリ。
そして、今回はユウタも寮に留まった。
日本に帰らず、デッドプリンスの誘いも遠慮した。
それはミハイルに付き合ってのことである。
身体の弱いミハイルは休暇中も必ず学院に残る。
そう聞いて、ユウタも学院に残ることにした。
バトラーが運んできたのは紅茶とアップルパイ。
ミハイルが好きなお菓子であり、ユウタが昨日のうちに注文していたものだ。
「ミハイル、好きだったよね?」
「うんっ」
友達の笑顔が嬉しくて、ユウタも笑顔になった。
バトラーが二人に誘惑の代償を切り分ける。
きつね色のパイ。辺りには甘いリンゴとシナモンの匂い。
「おいしい…」
甘い物を口にしたミハイルは表情が柔らかくなった。
ユウタも、ほっとしてフォークを口に運んだ。
「勝手だね」
「怒るなよ」
ジョシュアとアンリの声。二人がライブラリからサロンに戻ってきた。
アンリの琥珀の瞳が部外者を捉える。
びくりとミハイルの肩が跳ねた。
見下ろして、冷笑する。刺々しい言い方だった。
「こんにちは、ミハイル」
蛇に睨まれた兎のように、ミハイルは一度息を詰まらせる。
必死で挨拶を返した。
「あっ…こ、こんにちは、アンリ」
一瞬で凍り掛けた空気。それをジョシュアが緩和する。
ウーティス最高学年はシュヌーシアの寮生を温かく迎えた。
「やあ、ミハイル。来ていたんだね」
「こ、こんにちは。ジョシュア」
「ウーティスに遊びに来てくれてありがとう。歓迎するよ」
生徒代表の優しい言葉に、ミハイルは少し頬を染める。
「二人は、これからティータイムかい?」
うん、とユウタが答える。
「ジョシュアとアンリも食べる? アップルパイ」
「ありがとう。頂こうかな」
「僕は要らない」
「アンリ?」
ジョシュアの隣から扉へと踵を返す。
「失礼するよ」
ちらとミハイルを盗み見て、ドアを閉めた。
バタン、と重苦しい音が鳴る。
「すまない、ミハイル」
ジョシュアは友人の非礼を詫びた。
→「俺、ちょっと見てくるよ。ミハイルは、ゆっくりしていって」
→「心配しなくて良いよ。何処に行ったのは大体解るから」
→「君のせいじゃないからね? アンリは休暇中、いつも機嫌が悪いんだよ」
→一方その頃、ギリシャでは。
→一方その頃、保健室では。
PR